U216

見える未来そのすべてをまやかしだと拒絶してあげるよ!

新春浅草歌舞伎2019

新春浅草歌舞伎2019の所感をメモ。
毎年浅草で贔屓が観られるのが恒例となっているしあわせ。令和初となる年明けも楽しみ!
お年玉ご挨拶は松也くん、鶴松くんの回でした。

「戻駕」

駕篭かきの男二人は客の禿にちなみ廓での武勇伝を披露する。その折二人の懐からまろび出たのは香炉と連判状…ハッとする二人の正体は石川五右衛門羽柴秀吉。っていう如何にも歌舞伎らしい荒唐無稽な舞踊。播磨屋兄弟の舞踊には安定感がありますね。まるるの禿があまりにも可憐な美少女でついつい視線を奪われがち。

「義賢最期」

源氏再興を願い散った木曽義賢(義仲の父)のお話。前半がさっぱりおもしろくないのは演目の仕様と言ってはそれまで…ハイライトとなる派手な立ち廻りからの松也くん義賢の仏倒れは圧巻。農家の娘なのに立ち廻りでも強すぎる小万、新悟ちゃんは凛とした女性が本当に似合う。

「芋掘長者」

三津五郎さんが45年振りに起こし現芝翫さんと踊った演目を、時を経て息子の巳之助橋之助二人が演じる感慨。初めて観たけど筋が分かりやすくおもしろおかしい踊りを見ているだけで笑って楽しめて、浅草向きの演目ですね。みっくんが敢えて踊りがヘタな藤五郎をやるのがおかしく、またお父様の面影をそこかしこに感じてうれしくもあり。

「寿曽我対面」

曽我兄弟の仇討ち、父の仇・祐経と相見えるくだり。荒事和事女形…様々な役柄が揃い絵面が華やかだからか、わりとよく掛かっている演目。でも、うーん、全体にあんまり印象に残らなかったな…。歌昇くんの柔らかさが十郎に合っていて、大磯の虎新悟ちゃんがとても綺麗だった。

「番町皿屋敷

有名な怪談を下地にした岡本綺堂の悲恋もの。愛を試すために主家の家宝の皿を割るお菊(種之助)も、純情を疑われたからってお菊を斬り捨てる(物理)播磨(隼人)も共感出来ないんだよなぁ…止めに入る蝶十郎さん権次があまりに懸命なので余計に際立つヤンデレカップルの怖さ。いや、お似合いなのか…?
他が割合さっぱりしたお話なので、なんで今年これにしたのはーちゃん!という思いも際立つのでした。

「乗合船恵方万歳」

七福神に見立てた登場人物は皆市井の人々で、江戸の生活を垣間見。演者全員がそれぞれ個性ある踊りを見せる、夜の部のシメにぴったりの演目。昼夜通して種之助くんの幅広さに感心しつつ、贔屓がどれも道化役なので羨ましくもあり。似合ってると思うけど、たまにはかっこいいところもみたいんですよ~~~